今年3月、同プロジェクトの運営を手掛ける「オーバース」社が新規の暗号資産「Nippon Idol Token(NIDT)」を発行。すでに資金調達は始まっているという。 「NIDTの総発行枚数は10億枚で、最初の公募時にうち3億枚が1 NIDTあたり5円で販売された。完売にはならなかったものの10億円を超える資金調達に成功したとされます。購入したファンは保有枚数によって、メンバー選考過程で行われるファン投票で優遇され、これまで以上に推し活の実感や手応えが得られる形になっている。それだけでなく、アイドルの知名度とNIDTの需要は比例するので、デビュー後に人気が出れば、NIDTの価値も値上がりしていく仕組みになっています」(アイドルライター) NIDTの現在の値は67円前後と、販売当初の約13倍に値上がり。しかし9月中旬に付けた最高値の125円と比べると、大幅に値を下げている…
ファンが購入したNIDTは投票権だけでなく、デビュー後にはアイドルグッズや物販のほか、イベント・コンサートのチケット購入、さらに推しへの“投げ銭”などにも利用できる予定だ。 公表されている資料によると、NIDTの発行で集められたお金は7割近くがプロジェクトの運営資金に充てられ、残りがオーバース社の運営費や予備費に回されるという。同社代表で今回のプロジェクトの仕掛け人でもある佐藤義仁氏は、松井証券取締役やSBI証券代表取締役執行役員専務などを経て現職に就いた「金融のプロフェッショナル」…
「これまでアイドルにとって“テレビに出る”ことはある種の憧れであり、知名度を得るのに最も効果的なメディアと考えられてきた。しかし今後、若者のテレビ離れが加速していくなか、ネットやメタバース空間へと活躍の場が広がれば、相対的にテレビの重要度は低くなる。おまけに今回のプロジェクトはファンから直接、資金調達するのでテレビ局やスポンサーの顔色をうかがう必要がなくなり、より自由度の高い活動ができることを意味します。ファンとの繋がりを基盤とした“独立独歩”のアイドルグループが誕生することで、『卒テレビ』の動きがアイドル界全体に広がることが懸念されます」 テレビで冠番組を持って、歌番組に出演する――。そういった手順を踏まずとも「スター」になれるのなら、アイドルの持つ可能性自体も広がることになる。新プロジェクトの成否の行方を、テレビやエンタメ、金融業界までが固唾を飲んで見守っている…