「試食専門店」とは一体何者か 東京・代官山駅から徒歩8分。駅から離れ人通りが少なくなってくる静かな通りに、その店はある。その名も「試食専門店」。店前に置かれた看板には、「全て無料で試食ができるお店」という説明が書かれている。 ガラスのドアからは、全国の地方メーカーが提供する様々な食品・飲料が一堂に会する様子が見えて、興味が引かれる。実際に取材に訪れた日の店前では、自転車に乗った高齢の主婦2人組が「試食できるんだって、気になるわね」と、足を止めて中の様子をうかがっていた。 試食専門店は2021年12月1日、代官山にオープンした。RaaSによるマーケティング支援のメグダイが手掛ける。オープンから2年がたとうとしている中、客足は好調が続く。「土曜日・日曜日は入場規制をすることもあるくらいの盛況ぶり」と、メグダイ取締役の杉浦博之氏は自信をのぞかせる…
試食専門店の仕組みはこうだ。来店客は入店後、気になる商品が見つかれば、その商品の前に置かれた「試食カード」を手に取る。それを店内のスタッフに渡すと、スタッフから試食分を乗せたトレーを渡され、その場で飲食することができる。基本的に試食できる商品の種類に制限はないが、同じ商品の試食は1回まで。店内には「試食スペース」があり、椅子に座ってゆっくりと商品を吟味できる。 試食後には、性別や年代、味や価格の評価、自由記述などを紙のアンケートにまとめて回答する。必須ではないが、試食をした人のほぼ100%が回答してくれているという。 試食した商品が気に入れば、もちろんその場で購入することもできる。試食カードをレジに持っていき、現物を手渡してもらうのが一つ。もう一つが、自分のスマートフォンなどで、試食カードに記載された2次元コード(QRコード)を読み取って当該商品を提供するメーカーやメグダイのECサイトに飛び、そこから購入するというものだ。この一連の過程で1人当たりの店頭滞在時間は10~15分ほどとなる…