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 こうした実態は、不当な金銭的”搾取”ではないのか。前出の竹村弁護士は次のように語る。

「仕事の売り上げから事前に経費を差し引いたうえで、タレントへのギャラを支払う芸能事務所もあります。しかし、一律50%の経費が控除されるとの規定は、諸経費の相当性や報酬配分について所属タレントと争いになる可能性はある。支出した経費が相当性を欠いているような場合は、タレントが事務所に対し、専属契約の債務不履行または有効性に疑義があるとして契約解除や無効を主張することも考えられる」… 
 芸能界の慣習から見ても、売り上げから経費を50%差し引くことはおかしいという声がある。芸能プロダクションの代表が言う。

「大手芸能事務所では、仕事の売り上げに対して、10万円程度の衣装代やメイク代を差し引き、残りを事務所側とタレント側で50%ずつ分けるケースが多いと聞きます。

衣装代を引かずに、売り上げをそのまま等分する場合もある。経費に関しては、先方から請求書がスムーズに発行されないことも多く、正確な金額が確定するのに時間がかかる。そこで、事務所側がタレントへ迅速にギャラを支払うために、経費を差し引かずに売り上げを等分する。このほうがタレントにとってもわかりやすいのです」… 
 ジャニー氏による性加害に関しては、外部専門家の調査報告書で、ジュニアの採用からデビューまで、プロデュース全般を担当したジャニー氏の絶対的な権限が背景にあったと指摘されている。

一方、デビューを果たしたタレントたちが、専属契約書に示された金銭的”搾取”の状態を改善しようとした場合も、事務所が絶対的な存在として立ちはだかったという。ジャニーズ事務所の関係者が明かす。

「専属契約書は、デビュー時に一度サインをすると、その後も自動的に更新される仕組みになっていました。そのためタレント側が人気や活動実績を踏まえて、報酬などの条件を変更しようとしても、ジャニーズ事務所側は一切交渉に応じないという姿勢でした」…