ユーチューバーがチケット転売ヤーを“私人逮捕”… 危険な行動だと言わざるを得ない2つの理由|日刊ゲンダイDIGITAL https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/328892 公開:23/09/10 06:00 更新:23/09/10 06:00 チケットの転売ヤーをユーチューバーが“私人逮捕”する動画が拡散されて、物議を醸しています。 確かにアイドルのコンサートチケットなどを無断で転売する行為は、チケット不正転売禁止法違反の犯罪になり得ます。しかし、このユーチューバーの行為は、法律家の立場からすると、非常にリスクのある行動だと思います。その理由は2つです。 まず、私人逮捕の要件を満たさずにかえって犯罪になるリスクが高いという点です。そもそも私人逮捕が認められるのは現行犯や準現行犯の場合だけです。過去に罪を犯した人を偶然発見したからといって、「私人逮捕だ」と逮捕してしまえば、逮捕・監禁罪などになり、逆に逮捕した人が逮捕されることになるでしょう。また逮捕が認められるのは、犯罪の嫌疑があり、逃亡や罪証隠滅の恐れがあることに加えて、逮捕をあえてする必要性があるという法律判断が必要です…
詐欺罪などは犯罪に該当するかどうかの判断が非常に微妙です。さらに私人逮捕での実力行使は、やりすぎてしまう側面もあります。過去に、万引犯人を私人逮捕しようとして首を絞め死亡させてしまい傷害致死事件に発展したケースもあります。 そして2つ目は、私人逮捕の状況をユーチューブにアップする行為は全然レベルの違う法律問題を生じさせるという点です。 確かに逮捕状況の証拠を残すために動画を撮影しておくことには必要性があるかもしれません。しかし、私人逮捕の状況をユーチューブやSNSにアップすることの必要性は基本的にないでしょう。 仮にモザイク処理をしていたとしても、プライバシーや名誉毀損の問題で慰謝料請求などの対象になってくる可能性もあります。 犯罪行為を現認した場合、私人逮捕すること自体をちゅうちょしてはならないとは思います。しかし、その私人逮捕をユーチューブやSNSにアップすることはまったく別物。まして、それが拡散を目的とした行為なら正当化されることはありませんから、カン違いはしないでください…