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 ――元凶はテレビ局ですか。

福田:日本は米国と違って、テレビ局が制作とディストリビューション(送信)の両方の権利を持っている歴史的経緯があります。そうすると「テレビ局→制作プロダクション→芸能プロダクション→タレント」という構造になり、タレントが最下層になってしまいました。でも本来、世界的なスタンダードは、タレントが1番、コンテンツが1番。それに対してコンテンツが最後なのが日本なんです。この構造のいびつさが日本の芸能界を近代化させない要因になっています。

実は芸能事務所というのは、何の権限も権利もビジネスライセンスもありません。口利きをするだけなんですよ。だから僕は、監督官庁が主導して、フェアな取引を可能にするためのビジネスライセンス制度にすべきだと訴えています。しかるべき労務管理やギャラの配分をきちんとしているのかを透明化してはじめて、きちんとした産業だといえるのではないかと考えています。

人権デューデリジェンス(人権保障などのルールに適合しているか調査すること)について報告することも重要です… 
 ――仮にジャニーズ事務所にいる人で「もう僕辞めます」となったら、福田さんの会社でマネジメントを引き受ける可能性はありますか。

福田:引き受けますし、やっぱりきちんとした対価の話だとか、仕事の構造をまず説明して、その人が持っているブランド力、踊りが得意なのか歌なのか、喋りなのか、ということによってブッキングしていきますね。それが普通の仕事の進め方です。

ところがこれまで、いくつかの大手事務所は、仮にAさんが大ヒットを出したとすると「Aさんにヒットが出たから、次はBとセットにしなきゃ駄目だぞ」といったことをやってきたわけです。こんなことを繰り返してきたから、日本のドラマは韓国に比べて低レベルなのはもちろん、世界的に一番レベルが低い存在になってしまいました。キャスティングの透明化は絶対必要です。他にそういう透明な経営をやっているところがないので、今後ビジネスマンとしてやっていきたい人はうちの会社に来るべきだと思います。

日本人の有名俳優やタレントが大金持ちの時代じゃなくなったのは悲しいですよね。宍戸錠さんや石原裕次郎さんといったら、ちゃんと大金持ちだったじゃないですか… 
 ――ジャニーズ事務所は10月2日に新体制を発表します。社名を変更した上で所属タレントを別会社に移籍させる案が報じられているほか、社長を引責辞任した藤島ジュリー景子氏の持ち株比率がどう変化するかもポイントです。

福田:報道の通りだとすると、旧来の事務所は被害者救済に専念して、新しい会社は負の遺産を引き継がないで、日本のエンタメを引き続き牽引していってほしいものですね。これをきっかけに、全ての芸能事務所が移籍の自由をきちんとルール化して、監督官庁はテレビ局をちゃんと見て指導すべきだと言っているのです… 
 東京芸術文化相談サポートセンター 「アートノト」|芸術文化支援事業|アーツカウンシル東京 https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/what-we-do/support/activity/support-center/58909/

東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京は、アーティスト等の持続的な活動をサポートし、新たな活動につなげていく「東京芸術文化相談サポートセンター」を2023年10月2日(月)に総合(フル)オープンします。

芸術文化の分野では、フリーランスや小規模団体で活躍しているアーティストが多く、書面によらない不明確な契約やハラスメントなどの様々な課題に直面しています。こうした方々の持続的な活動を支えるため、オンラインを中心に、弁護士や税理士といった外部の専門家等と連携しながら、[相談窓口]、[情報提供]、[スクール]の3つの機能によりアーティストや芸術文化の担い手を総合的にサポートしてまいります…