――元凶はテレビ局ですか。 福田:日本は米国と違って、テレビ局が制作とディストリビューション(送信)の両方の権利を持っている歴史的経緯があります。そうすると「テレビ局→制作プロダクション→芸能プロダクション→タレント」という構造になり、タレントが最下層になってしまいました。でも本来、世界的なスタンダードは、タレントが1番、コンテンツが1番。それに対してコンテンツが最後なのが日本なんです。この構造のいびつさが日本の芸能界を近代化させない要因になっています。 実は芸能事務所というのは、何の権限も権利もビジネスライセンスもありません。口利きをするだけなんですよ。だから僕は、監督官庁が主導して、フェアな取引を可能にするためのビジネスライセンス制度にすべきだと訴えています。しかるべき労務管理やギャラの配分をきちんとしているのかを透明化してはじめて、きちんとした産業だといえるのではないかと考えています。 人権デューデリジェンス(人権保障などのルールに適合しているか調査すること)について報告することも重要です…