▽100回以上のプレゼンで企業から集めた100億円 神山まるごと高専は全寮制で、授業料は全学生無料だ。狙いは「多様性」のある学生を集めることだ。学校の創設者で運営法人の理事長の寺田親弘さんは、名刺管理サービス会社「Sansan(サンサン)」(東京)の社長も務める。 寺田さんは、この高専で学んだ学生たちが「モノをつくる力で、コトを起こす人」となり、日本、社会、未来を変えていくことを目指し学校をつくった。「家庭環境にかかわらず本校を目指せる。(学生の)多様性からイノベーションが生まれることを期待したい」と語る…
では、どうやって無償化したのか。学費は1人当たり年間200万円。1学年の定員は40人としているため、全5学年がそろうと4億円が必要になる。 寺田さんは、民間企業に対して100回以上プレゼンテーションして出資や寄付を呼びかけた。その結果、ソニーグループやリコーなど11社から約100億円を集め基金をつくった。この基金を運用会社に委託。年間5・5%の運用益を得る前提で約5億円の収入を見込む。これで教員の人件費などを賄え、画期的な学費無償化の仕組みが完成した。 寮費についても、経済状況や家族構成によって無料になったり、減額されたりする…
▽「授業はめちゃくちゃ頭を使う」 神山まるごと高専には今春、倍率約9倍の入試を突破し全国から44人の学生が1期生として入学した。東京出身の付媛媛さん(16)は4カ月の学生生活をこう語ってくれた。「授業はめちゃくちゃ頭を使い自分なりの独自性がでる。クラスメートの強みや特徴の新しい発見があり、仲間を知ることができる」 実際に取材し、ここで学ぶと起業家との交流をはじめ貴重な経験を積み重ねられるだろうと感じた。将来役立つ発想力やコミュニケーション能力なども身につけることができそうだ。卒業後は4割が起業すると想定されている。画一的でない新しい教育を受ける学生たちの今後に期待が膨らむ…