実名は出さないがある先輩との会話。
「あの業界、売れると見込んでフォローを決めた人間はとことん大事にするし守りますよね」
「それ。自分のバンドのボーカルにもわざわざ本社から人が来てさ、どんな希望も聞くから来てくれって頭下げてた」
「でもそこまででもない人間はとことん食い物にする」
「そう。結局たいして売れないだろうからってね」
「うちのバンドのボーカルは"言われてキスくらいさせないヤツはあの業界でやって行く覚悟がないんだ"なんて言われましたよ」
「適当に小さい仕事を与えて、それと引き換えに体をオモチャにしたらお払い箱のコースだ、それ」
「売れりゃ扱いも変わりますがそうじゃなければそこでおしまい。結局業界の奴らってたいして大事にするつもりのない人間はそんな扱いしかしない。これは売れるぞ、と思う新人は最初から絶対に手をつけないで大事に大事に守って育てる」
「うちのボーカルはそれだ。結局そこそこ売れて紅白にも出てた。そういうとこ、彼らは見る目があるんだよ。胸糞悪いけど」
「クソムカつくし人間のやることじゃねーっすが見る目だけはあって、売れると思う人間だけは大事にする」
「ゾッとする」