現在の中上流の宗教である、テクノロジー教のキャンペーンが最近、メディアに周期的に登場する。 その際、「神の領域」、「特異点」などの仰々しい表現も必ずついてくる。 日本では、死後頭部切断、冷凍保存して、後AIに脳の情報を転換、さらにAIを電子信号化して、地球の熱死を超えた「不老不死」噺はまだあまり「受けない」。しかし、米国ではこのために契約書をつくり数百億、数千億の「投資」をする大富豪(白人男性)があまたいる。 ただし、犬や猫などのペットのクローンは米国、イスラエル、東アジアではすでにかなりポピュラー。現在中国では犬が5万ドル、猫は4万ドル、というから以前よりはだいぶ安価になった。 しかし、イスラエルの例はある意味衝撃的だ。25歳の息子が事故で亡くなった時、母の咄嗟の判断は「精子を取り出せ!」。精子凍結で代理母を見つければ、「孫」を養育できる。 裁判所は許可を出したが、政府が「当人の同意がない」とストップ。上級審でも「死後生殖」は認められなかった。 「ひと」である限り避けられない「死」と「別れ」。 できればそれを「避けたい」のは人情としてわかるが、「テクノロジー」によって「不老不死」を望むのは、いわば始皇帝の「仙薬」と同じ。 人の心の弱さにつけこむビジネスという他ない。