キャラ文化にはこの他にもリスクがある。筆者が実際に聞いたセリフを使って説明してみたい。 「今回のパーティーにはいろんな友達がいて、どんなキャラで臨めばいいか戸惑っています」 この発言を初めて聞いたときは「これが異文化の衝突か」と、その強烈さに戸惑った。それと同時に、日本のさまざまな問題点が垣間見えた気もした。 ここでいう「いろんな友達」とは、学校、職場、趣味など、自分の生活の異なる場面で付き合う人たちのことである。つまり、このセリフを言った人はそれぞれの場面で違うキャラを提供している。きっと、他者と被ってはいけないという原則の下、そうしているのだろう。 だからこそ、異なるコミュニティの人が集まる場所で、どのときの自分を演じればいいのか迷っている。別のキャラを見られてしまうと、キャラの「魔法」が解けてしまうと思っているのだ。特定のキャラに慣れきっている人たちに対して突然違うキャラを見せれば、変な雰囲気になるだろう。 この悩みは、キャラが人間の一つの側面しか持てないことで生じている…