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  H.アレント、「最も独創的な人」と表現しましたが、「独創的な思想家の一人」が正確です。

 ハイデガーの直接の弟子のなかでは、最も「独創的」と言えるかも知れません。他にマルクーゼ、ハンス・ヨナス、亡命後一時東北大学で教えていたK.レーヴイットなどユダヤ系の著名人がいます。

 アレントの独創は「人間の条件」として「複数性」と「可死性」を挙げ、複数のアクターが「活動」する空間として「政治」を古典古代を参照しながら再定義したこと。この政治空間においてアクターは己の「生死」を賭けた「決闘」関係に入る。

 ドイツ哲学においては、「複数性」が最重要概念になることは少ない。ハイデガーの「共同存在 mitsein」は「ドイツ民族共同体」とほぼ同義。
 またK.シュミットの「決断」する「主体」はあくまで単数形。これは「多数者multitude」を出発点とするホッブスとも異なる。

 20世紀に入ってヘーゲル『精神現象学』「自己意識」におけるいて自己と他者の闘争が注目されるようになったが、ヘーゲルではそれは最終的に媒介され、理性へと上昇していく。

アレントはヘーゲル的歴史哲学の端緒を18世紀とし、「社会」による「政治」の浸食を批判。

ただそれは「決闘」の比喩でわかるように簡単に「ケア」と結びつくものではない。
  
 @037b1963 Mitsein のMは大文字です