日本のサブカルチャー(とくに女性)ではフランス革命はポジティヴで捉えれている気がするけれども。 『ヴェルサイユのバラ』では近衛連隊長オスカルがバステューユ襲撃に参加するし、続編の『エロイカ』では、オスカルの部下、アランはナポレオンの参謀となる。その後、皇帝就任の野望を阻止しようとして暗殺行為に出るが、失敗。これも「革命の大義」に殉ずるため、とされている。ついでに言うと、グラックス・バブーフの陰謀まで登場する。 アレントは米革命が「政治」革命であり、仏革命のように「社会革命」でない(「不平等」を問題にしない)ことを評価するが、これは米革命の指導者がほとんど大奴隷農場主であったから可能になった。当然奴隷解放は見送られた。 それに対してジャコバン国民公会は、男子普通選挙権の他に嫡出子と庶子の区別の廃止、さらに奴隷解放令に曲がりなりにもこぎつけた。 『杖と翼』では主人公がサン=ジュストとナタン・ル・アルディ(le hardi)という美青年の間に立つという設定。ナタンはレッシングの「賢者ナタン」からとったのだろう。 恐怖政治の途中からナタンと主人公はヴァンデーのフクロウ党(反革命)に身を投じる。 しかし天才サン・ジュストの「正義」の「翼」はナタンの「杖」と並び立つイマージュのまま並列している。