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  ちなみにジャックの息子、ピエール・デリダと一時期同居していたジャンヌ・バリバールはE.バリバールの娘の歌手・女優。仏ではおそらく娘の方が有名だろう。

 ジャンヌは「潜水服は蝶の服を着る」、『007 慰めの報酬』などに出演している有名俳優まチュー・アマリックの間に二人の息子があり、その後ピエール、音楽家のフィリップ、現在はドイツ人演出家と暮らしている。

 マチューの方は父はル・モンドの記者、母はアシュケナージの批評家。ジャンヌの母は物理学者なので、絵に書いたようなパリの文化エリートの空間の二人である。

 そもそもジャック・デリダとE.バリバールは11歳違いのノルマリアン同士であり、デリダはノルマルでアルチュセールと「同盟」を結んでいたので、両者は非常によく知る仲だった。

 ただし、この頃のデリダはアルチュセール派との政治思想の違いを「隠していたので」、後に「政治と友愛」が発表された際にはバリバールは「ええーそうだったの!」とショックを受けることになる。

 逆にバリバールはデリダの『マルクスの亡霊たち』について、「マルクス主義者」としてあれこれ不満を言っていた(のを直接聞いた記憶がある)。ま、これは当然だが。

 こういう連中が京都位の街の一画にひしめいて複雑な人間関係を作っているのである。