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  さて、動物行動学の発展に関して言うと、フーコーの『言葉と物』出版時点は、まだローレンツ段階である。

 その後、『利己的な遺伝子』で知られるR.ドーキンスとそれを批判するフランス・ドゥ・ヴァ―ルの世代で劇的に進化した。これは一つには分子生物学の知見が応用されたこと、二つにはアフリカにおけるチンパンジー、ボノボ、ゴリラなどの類人猿の継続的観察が可能になったこと、三つには観察技術が飛躍的な発達がある。

 現在、チンパンジーに関して言うと、言語は勿論、学習、自己認知、されに「メタ認知」(自分が知っていることを知っている)をも備えていることは分かっている。自己認知に関しては、人と変わりない時期に現れる。

 「死」については、チンパンジーは「他の個体」が「死んだ」ということは理解する。
 ただ、自分が「いずれ死ぬ」ことを理解しているのか、ここがまだ分からない。

 また「人」が持っているような「過去・現在・未来」という三つの契機によって構成される「時間」意識があるのか、どうかこれはまだわからない。

 しかし個体識別に基づいた、音声言語による「情報・情動」のコミュケーションは鳥類の多くにもあることがわかっている。

 であるから、80代現代思想で前提とされた人と動物の区別は完全に「時代遅れ」なのである。