大学卒業後、高円寺で同棲を始めたものの、NTR(寝取られ)の一撃で人生がパリーンと音を立てて割れる。次に訪れたのは、ホームレス生活という名の底なし沼。這い上がろうと流れ着いた「渋家」は、一見居心地が良さそうなオルタナティブスペースだったが、案の定、脆い夢のガラス細工のように崩壊。怨念と何かが燃料になり、漫画『令和元年のえずくろしい』の原案を仕上げるが、生活はまったく楽にならない。
次なる挑戦はアダルト映像のカメラマン見習い。しかし「AV新法とディープフェイクがこいつらの未来を塗り替える」と確信し、これまた速攻でフェードアウト。気がつけば、高円寺の路地裏で「何でも屋」を名乗り、都市の人間関係という瓦礫を片付ける日々が始まっていた。
そんな折、ある事件でアキノリ将軍未満と再び交差。気づけばネオ幕府アキノリ党の幹事長兼パーティストとして都知事選の渦中へ飛び込むことに。渋谷駅前では爆音レイヴを開催し、公職選挙法の穴を「大丈夫っしょ?」と言いながらくぐり抜ける。この奇怪なキャリアがどこへ向かうのか、自分自身も「誰か教えてくれ」と叫びたいくらいだった。
そして都知事選後の話だ。3年間同棲していた女性が、元バンドメンバーと家で寝ているのを確認した瞬間、脳のリミッターがポーンと弾け飛んだ。「この世に安住の地などない」という結論に達し、東京と京都を行ったり来たりする放浪生活に突入する。その道中で得られるものは、たぶん新しい絶望か、せいぜい曖昧な残響だけだろう。いや、本当に何だこれ。 #introductions