2つ目に、キャラクターが自身を守るため、または善良な結果を追及するために、自分が知っている情報を隠したり偽ったりする場合も、読者に受け入れられるものとなっています。ジェイコブス氏はアガサ・クリスティの「オリエント急行殺人事件」を「正当な偽りの典型的な例」として挙げており、キャラクターたちは自身の内面を守るために、知っているはずの事件の内容について隠し続けています。
総合して、ジェイコブス氏はウソや不正行為について「感情的に弱っている人」「死に直面している人」「真実によって自分もしくは周りの状況が悪化する人」が行う場合、正当であると見なされるとまとめています。反対に、これらの条件に当てはまらない場合に不正な手段を選択した場合、キャラクターが読者に悪い印象を想像以上に与える可能性があります。
とりわけミステリーやスリラーにおいては、キャラクターたちによるウソや欺きがあるからこそ物語が面白くなることがあります。物語を面白くするために加えたエッセンスで、かえって読者を不快にさせたりキャラクターに感情移入できなくなったりしないように、キャラクターの状況と目的を客観的に考慮することが重要です…