なぜアメリカでトランプが台頭して来たのかと長年疑問だった。今さらその理由らしき記事や本を見つけた。 知ってる人は知ってたのだろうけど、あれは白人労働者階級の受け皿になってしまったのだな。 白人というだけで特権者。だが労働者は労働者、経済的に不安はある。差別と闘った強烈なアイデンティティもない。相対的に空虚な存在であり、オバマに象徴される他人種の台頭による脅威に耐えられなくなった。だがもちろん、それを言えばレイシストと呼ばれる。 そのあたりをトランプはうまく汲み取っていったのだな。 “ 人種的マイノリティの台頭に脅威を感じる白人労働者層が、ポリティカルコレクトネスへの配慮からこれまで民主・共和両党の大統領候補の誰も代弁してこなかった自らの声をトランプが代弁していると感じトランプに投票した、というのが実証研究の知見から得られる白人労働者層の投票行動の変化に関する最も妥当な説明であろう。” https://www.jiia.or.jp/research-report/post-16.html 世界中、経済が揺らいだ国はこの流れにならっているように感じる。 日本に視点を戻すと、景気の良い時期と左派的動きの世相への反映は協調しているように見える。 経済的に不安を感じると、人はまず自分が生き残ろうとする。その時に社会のひずみは顕在化する。生き残ろうとする不安たるや強烈なものである。左派の姿勢は理想論と呼ばれてしまう。その論理では自分たちは損をする、なにかを一方的に奪われる、居場所がなくなると感じる。 維新のような存在が自分たち意識が高くない(と、社会の空気に要請され、長年それに応じて来た結果)空虚な存在を生かしてくれる、現実的とされる。 経済の回復、なんとか生きていけそうであるという安心感がいかに重要かがわかる。 だが現実はそれを奪ってばかりで、それは加速している。 そしてバイデンは、サンデル教授の記事によると、白人労働者層の奪還に成功していない。
一対一でなんらかの交渉をする時に、相手の不安の扱いは何よりも鍵である。不安な人は、自分たちの不安をとりのぞくことしか考えられないからだ。 アメリカのマジョリティは不安のあまりトランプを選んだ。だとしたらこれを軽んずるべきではない。 日本ひいては世界の世相は「不安」を払拭することにかかっているのではないか。為政者は必ずここを突く。ハラッサーでもなんでもそう。人は不安があればいくらでも動く。 悪人ほど不安の扱いが巧みである。 いまからまだ出来ることがあるとしたら、この大きな「不安」をどう扱うか、どうやって雑にしないか、の視点は欠くべきではない。 #マストドン非暴力部